MoMAのスタッフエントランス
2007年12月13日 木曜日

西53丁目25番地。派手なデザインストアの隣にひっそりとある「25」とだけ書かれたこの地味な扉が、ニューヨーク近代美術館(MoMA)の関係者専用の入り口だ。
2004年に大改装が完了した新しいMoMAに来るのは初めてで、まだ正面玄関から入ったことすらないというのに、私の記念すべき新MoMA訪問は裏口からになってしまった。しかしまあ、話のタネとしてはそれもよかろう。
MoMAの舞台裏には、いまはなきセゾン美術館のプロジェクトの手伝いも含め、過去に数回入ったことがあるが、その頃はスタッフエントランスというものはなくて、一般案内カウンターで訪問を告げる仕組み。スペースが限られていた当時のMoMAでは、一般客もウロウロしている展示エリアの柱の影に舞台裏への目立たない入り口があるという面白い配置だった。
ロックフェラーセンター駅で地下鉄を降りたときには、アポの午後2時をもう過ぎていて、連れ2人と早足で53丁目を東へ向かう。「25と書かれた扉から入ってきな」という旧友ロジャーの言葉だけが頼りだったが、あっさりと前を1度通り過ぎて、引き返した。さらに3分の遅れ。
受付に近づいて行くと「ロジャーの3人ですか?」と、スーツを着た黒人の若い兄ちゃんにすぐ声をかけられる。最近多忙のロジャーは、もう気になって受付に電話をしていた模様。
これから向かうのは作品の修復専用フロアだ。
まず、前よりもセキュリティーが強化されたことに気付く。1階からエレベーターを呼ぶのにカードをタッチ、乗ってからフロアボタンを作動させるためにもう一度カード、フロアに入るのにカードをタッチして、さらに暗証番号。客はスタッフの同伴無しにはフロアに入ることはおろか出ることも一切できない。これよりセキュリティーの厳しい場所というと、新生銀行の心臓部であるデータセンターしか入ったことがない。
着いたフロアを見渡した結論。これじゃ、怪しい連中を通すわけにはいかない。
【続きは年明けに室内の写真掲載の承諾を貰ってから…】
阿部譲之 あべよしゆき。木工芸とプロダクトデザインを経て、NYで石岡瑛子に師事。東京を拠点に活動するデザイナー、ジャーナリスト