眼下にひろがるモノクロ写真
2008年2月14日 木曜日

雪の降る夕暮れ、ノートマックを2台背負って、クライアントのオフィスに向かう。
長く厚いコートを着込んだ仕事人達が足早に歩いて行く。彼らのマンハッタン・スタイルの黒服に、強く降り始めた雪が積もり目立っていた。
マーケティング担当副社長が現れるのを待ちながら、暗くなり始めた外界をボーッと眺める。目の前のマディソン・スクエア・パークの色彩は、まるで白黒写真でも見ているようだった。
5番街にブロードウェイが斜めに交差する三角形の角地に立つ「フラット・アイアン・ビル」(写真中央右)は、ジョージア・オキーフの旦那、アルフレッド・スティーグリッツの写真でもよく知られていて、このエリアの名前にもなっている建物だ。丸い池のほとりに立つ銅像は、スティーグリッツがあの写真を撮ったときも、きっとあそこに立っていたのだと思う。
ところで、あの写真は白黒だったが、当時のニューヨークにはイエローキャブなど走っていなかっただろうし、カラフルな要素は皆無だろうから、カラーで撮ったとしても白黒写真に見えたのではないだろうか。自分が撮った写真を見てそんなことを感じた。
マンハッタンは変わるところは跡形もなく姿を変えるものの、一方で、アンティーク級の高層ビルが立ち並ぶところだ。 全部新しいようでいて、新旧が折り重なっているのだ。
阿部譲之 あべよしゆき。木工芸とプロダクトデザインを経て、NYで石岡瑛子に師事。東京を拠点に活動するデザイナー、ジャーナリスト