黒に映える大盛りのチューリップ
2008年2月16日 土曜日

朝7時のブルックリン・ハイツを散歩していて、黒塗りの小さな花屋の前を通りかかる。
色とりどりのチューリップが大盛りに飾られていたのに目に留まり、続いて足が止まった。
開店前で店の奥は真っ暗。その暗闇の黒を背景に、静物画を見ているかのように色鮮やかにくっきりと浮かび上がっていた。さながら絵本に出てくるミステリアスな魔法の花屋という雰囲気。
場所はモンタギュー通りのすぐ側。マンハッタンのすぐ対岸にあるブルックリン・ハイツ地区は、金持ちが多く住む場所で、そういうお客さんが家を飾るために立ち寄るのだろう。花も客の家のインテリアを選ぶというわけだ。
花屋の数でその街の文化度がわかるという説もあるらしいが、花が生活を彩る習慣はアメリカやヨーロッパの方が浸透していると感じる。数日前に、バレンタイン・デーの夜にマンハッタンを歩いていて、男だけの行列をそこら中で見かけたが、その先をたどると全部花屋だった。
それにしても閉店時に通行人の足を止めさせるとはなかなかのセンス。今朝、街が動き始める前のこの瞬間、通りの主役は間違いなく、重たげに頭を傾ける丸々と太ったチューリップ達だった。
阿部譲之 あべよしゆき。木工芸とプロダクトデザインを経て、NYで石岡瑛子に師事。東京を拠点に活動するデザイナー、ジャーナリスト