美食デザイナー好みの究極ハンガー
2007年11月20日 火曜日

安く、軽く、デザインがモダン。この条件を満たす最高のハンガーは、クリーニング屋の白いワイヤーハンガーである。
満足のいくデザインのヤカンを探して半年東京をさまよったこともある私は、最近そう決めた。
いつも思っていたが、家に並ぶ服の「首元」から飛び出す色も形もバラバラなハンガーはお見苦さ抜群。東急ハンズに出かけて、全部同じデザインで揃えることにしたのである。売り場を見渡すと、機能を追求したものはプラスチック製の安っぽい質感だったり、デザインが下品な形だったり。木や金属の素材感あるリッチな雰囲気のものは重くて高い。目についたのは、10本1束で売っていたクリーニング屋と全く同じ白いワイヤーのハンガー。1束で、上の段の高級ハンガー1本分のお値段。
ずっしりと重い束を手にとって、ふと我思う。「ん?これが一番格好いいじゃないか」
クリーニング店のハンガーが、使い捨ての安物の代名詞として目の敵にされ、チープなやつと思われている理由は、形の違うプラスチック製や、色がバラバラのワイヤーハンガーが、ごちゃまぜで洋服ダンスに並んでいるからだと気付いた。色と形が全部揃っていれば良いのだ。その中でも、一番安い白のワイヤーハンガーが絶品の美食デザイナー好みである。「安い」と「安っぽい」を混同してはいけない。
ハンガーは主張しなくてよろしい。細くしなやかで、大人しいのが良い。
阿部譲之 あべよしゆき。木工芸とプロダクトデザインを経て、NYで石岡瑛子に師事。東京を拠点に活動するデザイナー、ジャーナリスト