真っ青な雪化粧のグラウンドゼロ
2007年12月9日 日曜日

新婚カップルのホテルからの景色がスゴイことになっているというので、部屋を訪ねた。
雪が降った後の日曜の夕暮れ。触れるのではないかとも思える濃い香りの冷たく湿った空気が、静まりかえった休日の金融街に漂っていた。
暖房の効いた部屋に入って、コートも脱がずに大きなガラス窓に近づく。眼下には、夜を間近に青く染まったビル街に囲まれて、雪で白く覆われたグラウンドゼロがひろがっていた。
これをなんと表すればよいのだろうか。絶景という言葉を使うのはためらわれたが、いままで見たことのない、不思議と美しいものだった。いろいろな感情がこみ上げてくる光景であることは間違いなかった。
このミレニアムヒルトンホテルは、グラウンドゼロの真向かいに建つ黒いガラス張りの高層ホテルで、9.11の直後はダメージがひどくしばらく休業をしていたところだ。 1泊500ドルとかなりお高いホテルなのだが、新郎新婦が金持ちというわけでもなく、彼らの親が気を利かせたわけでもなくて、この時季に空いている一番安いホテルがここだったのだという。
はるか昔からある有名な格言で「ニューヨークは旅だと高いから、住んでしまった方がいいのさ」というのがある。昨今のマンハッタンの異常なホテル価格からして、いつになくその通りである。
阿部譲之 あべよしゆき。木工芸とプロダクトデザインを経て、NYで石岡瑛子に師事。東京を拠点に活動するデザイナー、ジャーナリスト