アーカイブ 2007年12月

人生の達人と上空10000メートル日本酒の宴

2007年12月29日 土曜日

_00122971.jpg

ニューヨークに向かう行きの機中、隣に座ったアメリカ人のおばさまとベロベロに酔った。

米国系エアラインの国際線はどこも酒が有料になったようで、飛行機を降りてからマンハッタンのバーで飲むことを考えれば、1杯500円など安いものだが、タダ酒と有料の間には果てしない精神的な絶壁がそびえている。しかも赤ワインが売り切れだというではないか。

察したかのように、絶妙なタイミングで、隣のおばさまのバッグから日本酒のボトルが現れた。

ニヤリとこちらを見るご婦人、「Let’s NOMIKAI?」と一言。

機内用で飲むために免税店で買って持ち込んだようで、旅慣れているのかのんべえなのか、なかなかの用意周到ぶりだ。

歳の頃は私の母と同じくらいに見えたが、聞くと、その美貌とチャーミングな言動からはとても想像できないお歳だということが判明。

プラスチックカップにお酌。機内で日本酒を飲むのなんてのは初めてだが、お酌をしてくれるのが白人のおばさまなのがことさら笑える。周りをとり囲むのが英語を一言も解さない年配中国人の団体なのを良いことに、お互いの恋沙汰事情を巡り、過激な話で爆笑が続いた。

彼女はお孫さんがアメリカにいるそうだが、日本人と再婚して数年前に第2の人生を日本で歩き始めたという。彼女にとって「エキサイティングなアドベンチャー」なのだそうだ。アメリカ人は本当に人 生の楽しみ方をわかっている人が多いと、いつも感心して唸るが、彼女と話していてその思いをことさら強くした。連れ添った旦那と大人しく人生を終えるなどという発想ではなく、時間があるから2周目に突入!というわけである。

もう30歳若かったら、私も惚れたかもしれないキュートな彼女。実はこの人、日本のあの大学の教授です。

MoMAのスタッフエントランス

2007年12月13日 木曜日

_0012408.jpg

西53丁目25番地。派手なデザインストアの隣にひっそりとある「25」とだけ書かれたこの地味な扉が、ニューヨーク近代美術館(MoMA)の関係者専用の入り口だ。

2004年に大改装が完了した新しいMoMAに来るのは初めてで、まだ正面玄関から入ったことすらないというのに、私の記念すべき新MoMA訪問は裏口からになってしまった。しかしまあ、話のタネとしてはそれもよかろう。

MoMAの舞台裏には、いまはなきセゾン美術館のプロジェクトの手伝いも含め、過去に数回入ったことがあるが、その頃はスタッフエントランスというものはなくて、一般案内カウンターで訪問を告げる仕組み。スペースが限られていた当時のMoMAでは、一般客もウロウロしている展示エリアの柱の影に舞台裏への目立たない入り口があるという面白い配置だった。

ロックフェラーセンター駅で地下鉄を降りたときには、アポの午後2時をもう過ぎていて、連れ2人と早足で53丁目を東へ向かう。「25と書かれた扉から入ってきな」という旧友ロジャーの言葉だけが頼りだったが、あっさりと前を1度通り過ぎて、引き返した。さらに3分の遅れ。

受付に近づいて行くと「ロジャーの3人ですか?」と、スーツを着た黒人の若い兄ちゃんにすぐ声をかけられる。最近多忙のロジャーは、もう気になって受付に電話をしていた模様。

これから向かうのは作品の修復専用フロアだ。

まず、前よりもセキュリティーが強化されたことに気付く。1階からエレベーターを呼ぶのにカードをタッチ、乗ってからフロアボタンを作動させるためにもう一度カード、フロアに入るのにカードをタッチして、さらに暗証番号。客はスタッフの同伴無しにはフロアに入ることはおろか出ることも一切できない。これよりセキュリティーの厳しい場所というと、新生銀行の心臓部であるデータセンターしか入ったことがない。

着いたフロアを見渡した結論。これじゃ、怪しい連中を通すわけにはいかない。

【続きは年明けに室内の写真掲載の承諾を貰ってから…】

あの日まで見えていた景色

2007年12月11日 火曜日

_0012640.jpg

NY滞在中に撮った411枚の写真の中に、 この1枚がある。

なんの変哲もないダウンダウンのビル街が写っただけのものだから、お蔵入りさせるつもりだった。日曜日に載せたグラウンドゼロとは正反対、ミレニアムヒルトンホテルの東側のエレベーターホールから撮ったものだ。

ただ、どうもどこかで見たことのあるような光景だと思い、眼をとめた。少しのあいだ考えて、わかった。

10年前に登った時に見た、ワールドトレードセンタービルからの眺望と酷似。

視点の高さは遠く及ばないが、このホテルとは道を挟んだだけのほぼ同じ場所にあったわけだから、眼に入る建物はほとんど同じなわけだ。

その日は、雲一つない快晴だった。イーストリーバーにかかるブルックリンブリッジと、マンハッタンブリッジは、いまと同じように、あのときもそこにあった。

真っ青な雪化粧のグラウンドゼロ

2007年12月9日 日曜日

_0012643.jpg

新婚カップルのホテルからの景色がスゴイことになっているというので、部屋を訪ねた。

雪が降った後の日曜の夕暮れ。触れるのではないかとも思える濃い香りの冷たく湿った空気が、静まりかえった休日の金融街に漂っていた。

暖房の効いた部屋に入って、コートも脱がずに大きなガラス窓に近づく。眼下には、夜を間近に青く染まったビル街に囲まれて、雪で白く覆われたグラウンドゼロがひろがっていた。

これをなんと表すればよいのだろうか。絶景という言葉を使うのはためらわれたが、いままで見たことのない、不思議と美しいものだった。いろいろな感情がこみ上げてくる光景であることは間違いなかった。

このミレニアムヒルトンホテルは、グラウンドゼロの真向かいに建つ黒いガラス張りの高層ホテルで、9.11の直後はダメージがひどくしばらく休業をしていたところだ。 1泊500ドルとかなりお高いホテルなのだが、新郎新婦が金持ちというわけでもなく、彼らの親が気を利かせたわけでもなくて、この時季に空いている一番安いホテルがここだったのだという。

はるか昔からある有名な格言で「ニューヨークは旅だと高いから、住んでしまった方がいいのさ」というのがある。昨今のマンハッタンの異常なホテル価格からして、いつになくその通りである。

極寒ニューヨークに逃亡中

2007年12月5日 水曜日

_0012536.jpg

この2ヶ月で2度目のニューヨークに滞在中。

心温まる幸せ大盛りの結婚式とは対照的に、急に冬が訪れた雪と風のマンハッタンは、耳がちぎれるような寒さだ。東京で新しく買ってきたウールコートの効果も虚しく、連れとガタガタ震える。

ロシア流ウェディングからMoMAの舞台裏訪問記まで、盛りだくさんで帰国後に大放出の予定。