人生の達人と上空10000メートル日本酒の宴
2007年12月29日 土曜日

ニューヨークに向かう行きの機中、隣に座ったアメリカ人のおばさまとベロベロに酔った。
米国系エアラインの国際線はどこも酒が有料になったようで、飛行機を降りてからマンハッタンのバーで飲むことを考えれば、1杯500円など安いものだが、タダ酒と有料の間には果てしない精神的な絶壁がそびえている。しかも赤ワインが売り切れだというではないか。
察したかのように、絶妙なタイミングで、隣のおばさまのバッグから日本酒のボトルが現れた。
ニヤリとこちらを見るご婦人、「Let’s NOMIKAI?」と一言。
機内用で飲むために免税店で買って持ち込んだようで、旅慣れているのかのんべえなのか、なかなかの用意周到ぶりだ。
歳の頃は私の母と同じくらいに見えたが、聞くと、その美貌とチャーミングな言動からはとても想像できないお歳だということが判明。
プラスチックカップにお酌。機内で日本酒を飲むのなんてのは初めてだが、お酌をしてくれるのが白人のおばさまなのがことさら笑える。周りをとり囲むのが英語を一言も解さない年配中国人の団体なのを良いことに、お互いの恋沙汰事情を巡り、過激な話で爆笑が続いた。
彼女はお孫さんがアメリカにいるそうだが、日本人と再婚して数年前に第2の人生を日本で歩き始めたという。彼女にとって「エキサイティングなアドベンチャー」なのだそうだ。アメリカ人は本当に人 生の楽しみ方をわかっている人が多いと、いつも感心して唸るが、彼女と話していてその思いをことさら強くした。連れ添った旦那と大人しく人生を終えるなどという発想ではなく、時間があるから2周目に突入!というわけである。
もう30歳若かったら、私も惚れたかもしれないキュートな彼女。実はこの人、日本のあの大学の教授です。




阿部譲之 あべよしゆき。木工芸とプロダクトデザインを経て、NYで石岡瑛子に師事。東京を拠点に活動するデザイナー、ジャーナリスト