2008年7月6日 日曜日

最新号のWebデザインノート誌に、3本記事を書きました。
凄腕プログラマーの前川峻志さん、デジタルに情緒を持たせるディレクター・アラカワケンスケさん、そしてヨーロッパ系のデジタルデザインエージェンシー『LESS RAIN』の東京オフィスを取材。
印刷が完了するまで他の記事の内容は知らなかったのだが、ニューウェーブ特集ということで、ウェブからインスタレーションまで記事が幅広く、 かなり密度が高いというのが、第一印象。
もともとは一読者だった私。その視点で考えるとこの号は結構売れそうな気が…(と、編プロの樺山さんに伝える)。
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2008年7月3日 木曜日

まるで中身も全部つまった陶器のようだった。
目黒庭園美術館のカフェで登場した真っ白の牛乳は、陶器のフチになめらかに形を溶け込ませ、境界が見えない。容器と全く同じ色のなみなみと注がれたミルクは、固体のようだ。
コーヒーはブラックなので一度も触らないで去った。液面が揺れるのを見てない私の頭は、まだ少々混乱気味。
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2008年7月3日 木曜日

長らくご無沙汰していたNY時代の師匠・石岡瑛子さんに、仕事の話でメールを打った。
ニューヨークから返事が来ると思っていたところ、北京から返事が届いた。なんと、オリンピック開会式のコスチュームデザインを担当していて、追い込みのまっただ中なのだそうだ!
『広告批評』の最新号に「北京の石岡瑛子」と題した28ページの特集が載っていると教えてもらい、早速本屋に走る。長めのインタビュー記事なのだが、われわれが外から見る中国とはまた違う、生の現場の中国ストーリーが面白い。どうも僕らがメディアで見ている中国は、実物とは少し違うみたいである。
肝心のコスチュームデザインは、8月8日の開会式まで極秘。総監督は映画監督のチャン・イーモウで、会場スタジアムはヘルツォーク&ドムーロン設計。そして、ハリウッドからシルク・ド・ソレイユまでを手掛ける石岡瑛子の衣装。
突然、オリンピックが他人事では無くなった。
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2008年4月13日 日曜日

10年以上前のニューヨークでのこと、今でも大事にしている一冊の本を見つけた。
ある日、通っていた美大の図書館の前に段ボール箱がずらりと並んだ。古い本を処分する投げ売りだ。アメリカの古書に特有の湿っぽい匂いがする、色あせた本ばかりで、あまりそそる雰囲気ではなかったのだが、1冊2ドルだというので、高い美術書の掘り出し物でもあるかと思い、物色を始めた。
そのときに見つけたのが、ごくシンプルに「One Million」と題名のついたこれ。定価は3.95ドル。
私が生まれるよりも前に大手出版社Simon & Schusterが出版。その中身には、私だけでなく教授や同級生は眼を丸くした。…正確には、それに加え、眼がチカチカした。
その本を開くと、紙の上に並ぶのは文字の代わりに「黒い点」。200ページに渡って目の錯覚テストのようなページが延々と続き、100万個の点が整然と並ぶ。
2番目の黒い点の「2、エデンの園の住人の数」というコメントから始まり、「81,000、 アメリカで心臓移植を待つ人」、「251,723、1969年にワシントンDCでベトナム戦争抗議デモに参加した人」、「649,739(分の1)、ポーカーでローヤルストレートフラッシュになる確立」など、なんとなく知っていそうで、いまいちどのくらいのサイズなのかがわからない数字が紹介されている。
この本が世に出てから40年近く経った現代にも、そっくりそのまま残っているのは、数字という抽象的なわかりにくい概念だ。数百億円でどこぞの企業を買収したとか、国家予算が何兆円であるとか、大きな数であればあるほど、実際の大きさはよくわからない。人間がいっぺんに認識できる物事の数は7だと言われているし、手と足の指を総動員しても20までしかカウントできないわけだから、頭の中ですぐに認識できるのはそのくらいの量だろう。
この本を手にした若き美大生は、デザインがこういう社会的に大切な情報を直感的に伝える役割を担えると思った。「情報」が世界を動かす最強の力になったいま、情報の翻訳家が必要だと思う。アフリカの難民が何万人いると聞いても、アマゾンで森が消えていくニュースを読んでも、そりゃ大変だぁというくらいの反応しかできない我々の脳がそこにある。こういった人類の明日に関わることの規模は、当事者である私たちの理解のキャパを遙かに超えてしまった。
インフレ、人口爆発、世界規模の環境変化・・・、巨大な数字があふれ出している。1970年には「100万」で社会現象を表現できたとしても、2008年版となると何巻シリーズになるのだろうか。

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2008年4月8日 火曜日

本棚から重い写真集をいっぱい出してきて、雨の音を聞きながら、デザインのアイディア出し。
雨の日はすべてが落ち着いた大人な雰囲気になるのが好きだ。濡れた地面や植物が濃厚な色に姿を変え、空気は文字通りしっとりと湿り気を帯びて、雨の香りを漂わせる。何層もの雲を突き抜けてきた太陽の光は勢いを失い、かすかに青白さを帯びて、窓際に置かれた物にやわらかな陰影をつくる。
こうやって、綺麗な写真集に眼を通すのが仕事、というのも幸せだなあと、ふと思う。
締め切り前の静寂。雨音。
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2008年3月31日 月曜日

最後にした習い事というと、大学までさかのぼってしまう。
そんな私が何を思ったか、フランス語の学校に申し込んだ。
日本語と英語が話せるのは珍しくもないご時世なので、次はフランス語。新しいデジカメを買うより、習い事に興味を示すとは、自分もずいぶん変わったものだと思う。5万円で3ヶ月も楽しめるエンターテイメントと考えれば、安い安い。
飯田橋にある『日仏学院』は、フランス政府が運営する学校で、この冬からパリに引っ越してしまった友人が薦めてくれた。英語・イタリア語などヨーロッパ系の言語を話せる人向けの初心者コースというのがあったのが、最後の一押しになった。文法も単語もかなり似ているから早く前に進めるだろう。
3月末の本日、クライアントからのありがたいご入金を確認し、 汐留での打ち合わせが終わった足で、現金を握りしめて飯田橋に向かう。駅からの道のり、強い風に川沿いの桜が、狂ったように右に左に吹き荒れていた。
桜咲く道を、この10年間で初の学校に申し込みに向かう・・・ううむ、画がベタすぎだ。
日仏学院の建物には、日本とは微妙に違うコーヒーの香りが漂っていた。古い建物だけれども、カフェやら本屋やらがあって、どこか洒落た雰囲気を臭わせている。見渡すと、案内版から書類から何から全部フランス語で、申込書も、併記してあるフランス語は、何を意味するのかさっぱりわからない。一言で表すならば、それは「恐怖」。
申し込みを済ませ、併設の書店の木のドアをくぐる。教科書を買いに行くという行為が無性に甘酸っぱい気分だ。そのテキストブックのタイトルは「スピラル」で、綴りは英語のスパイラルと一字違いのSpirale。少しずつ上達するという意味だと思うが、やはり言語として似ている。なんとかなりそうな気がしてきた。
ともあれ、このとき感じたナミナミならぬ身の危険は良い兆候。どうせ勉強するなら、怖いくらい無知な分野でなきゃ意味がない。
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2008年3月28日 金曜日

まともなデザイナーほど、あまりデザイン雑誌は読まないものなんです。
建築家フランク・ゲーリーは『建築家達の20代』という本の中で、こんなふうに話している。
「若い頃は事務所に送られてくる雑誌を全部キャンセルして、そういった専門誌を絶対見ないようにしていた」
同じような資料を見ているプロは、結局のところ同じようなものを作ってしまうということもある。業界誌の呪縛は絶対に存在する。くわえて、一流の仕事人は、そもそも他人の仕事を気にかける必然性が無いのかもしれない。
かく言う自分は、ここ最近デザインの為に買う雑誌というと、女性向けファッション誌が多い。そこはブランディングとデザインの最前線。一流ブランドの広告レイアウトや色使い、タイポグラフィーなど、シンプルであるがゆえのストレートな伝達力。写っているモデル達のように贅肉をそぎ落とし、恐ろしい額のカネで磨き上げられたビジュアルは、単純であるがゆえに記憶に残る。
そんな中、 ここ数年で唯一買っているデザイン雑誌というのもある。
『デザインノート』。デザインの舞台裏の焦点を当てるというメイキング誌。やっぱりどんな業界でも、舞台裏の方が100倍面白いのですよ。プロの仕事ぶりは見ているだけでエンターテイメントだと思う。
メイキング特典映像だけ観たくてDVDを買うこともある自分としては、姉妹誌『建築ノート』や『Webデザインノート』が出たときも嬉しくなった。今年になって『フォトグラフノート』まで出版され、Tokyo Nobodyのカメラマン・中野正貴さんの撮影メイキングが載っているのを眼にした瞬間、無条件即買い。
そんな折、しばしご無沙汰の物書き業を再開したいという欲望がメラメラと燃えだしていた。ふと巻末を見ると「外部スタッフ募集」とあり、編集長直通のメールアドレスがあるではないか。
その翌週、NYの頃に書いた記事サンプルを持って本郷の誠文堂新光社を訪ねた。編集長の三嶋さんは、広告代理店出身で、デザインノートの前は、ペット誌を8年担当していたという。穏やかな口調の彼から裏話をたくさん聞かせて頂いた。同誌は、ジュンク堂書店のランキングの常連だそうで、絶好調そのものの様子。そのせいで腕の立つスタッフが慢性的に不足しているそうで、近くお仕事をすることになりそうな気配。楽しみである。
なにしろ雑誌も、舞台裏の方が面白いのを、私は知っているものでしてね…。
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2008年3月16日 日曜日

人生そのものが波瀾万丈でスリリングになってくると、昔は楽しめたテレビゲームや映画では刺激が足りず、もんもんとする自分に気付く。
そんな大人のために、実体験型エンターテイメント『リアルゲームズ』を企画中。仮装護衛ゲーム『GUARD』と、社会派・ゴミの奪い合いゲーム『SWEEP』の準備を進めている。
現実の東京の街を舞台に行うゲームの開催に向け、ゲームに参加したい人、企画に口を出したい方の連絡を歓迎。(mail@yoshidesign.comまでどうぞ)
まだまだつめが甘いものの、ひとまず手の内を公開することにする。今後の展開はブログでもお知らせしていく。
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2008年3月6日 木曜日
音楽家になりたい、
と思っている人は大勢います。
でも、そういう人は、
音楽家になれない。
音楽家になる、と
決めている人だけが
音楽家になれるのです。
レナード・バーンスタイン、指揮者
出典 講談社現代新書『「天才」の育て方』 五嶋 節 著
初版・132ページ
ヴァイオリニスト五嶋みどりさんの母である、節氏が、
第1回パシフィックミュージックフェスティバルの開会式で
挨拶したレナード・バーンスタインの言葉を紹介して
(聞き覚えかつ、元は英語であるため、原文と多少異なる可能性あり)
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2008年2月24日 日曜日

バンコクに着いたときと似た、少しかびているのではないかと一瞬感じる南国独特の湿っぽいエアコンの空気。オーランド国際空港に深夜到着。すぐに黒いコートを脱いだ。
大雪のニューヨークから一転して、半袖短パンの世界へ。飛行機に3時間乗っても、まだ余裕で国内というのもすごいが、ここはまだアメリカの最南端ではなくマイアミはもっと南だ。東京から沖縄が2時間半のフライトだから似たようなイメージだろうが、アメリカの大きさがわかるというもの。
もう夜11:30を過ぎている。プロデューサーは、レンタカーのカウンターの行列に捕まっているのだろうか、なかなか戻って来ない。それともまた見知らぬお姉さんと話し込んで、私のことを完全に忘れているのだろうか。
飛行機から降りた人々はもうみんなどこかに消えていった。残ったのは、ディズニーワールドへのツアー客をあてもなく待つ制服のおばさんと、そして私くらい。
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